後発医薬品変更率を85%以上にもっていく方法
私はこの方法によって、後発医薬品変更率を約90%まで上昇させました。
1ヶ月の処方せん枚数が少ない薬局ならともかく、数千枚規模の薬局でこの数字を達成するには、とにかく要領が必要です。
後発変更率が伸び悩んでいる方は、ぜひ参考になさってくださいね。
行動その1
私はまず、月ごとの薬品使用量を調べました。
薬局の規模にもよりますが、最低3か月分・できれば1年分は調べましょう。
その中から、先発医薬品(要するに後発使用率を下げている要因)の使用量が多いものの上位から順に、後発医薬品を採用していきました。
なぜなら、計算方式が数量ベースなわけですから、使用量が多い薬から後発品に変えた方が効率がいいからです。
ちなみに、後発変更率に関わる計算式から除外できる薬は多いですが、それ以外にも検討すらせずスルーすべき薬があります。
具体的に見ていきましょう。
- 先発品しかない薬(当たり前)
- 準先発品(先発品として計算はしないが、後発品としては計算する)
- 日本薬局方医薬品(カマグ、白色ワセリンなど)
- 点眼薬(薬によるが、瓶単位で数えるため変更率への貢献が少ない)
- 患者数が多くても1回あたりの使用数が少ない薬(月1回の薬など)
これらの薬は薬価が高くてもスルーです。
ただ、準先発品だけが少々特殊な扱いになっており以下のようになります。
(b)には入れず除外するが、(a)(c)には入れる。
どういう事かと言いますと、
「ヒルドイドソフト軟膏」という準先発品を、後発品の「ヘパリン類似物質油性クリーム」に変更した場合。
1ヶ月で1000g変更したとしましょう。
(b)はそのままですが、(a)(c)には1000ずつ加えられるため、何も変更しなかった場合に比べると少しだけ変更率が上昇することになりますね。
行動その2
次に、処方箋の形式を変更してもらうべく動きました。
どういうことかと言いますと、通常であれば処方箋に書かれている薬について、患者さんの希望(先発品が良いか、後発品が良いか)を聞いて、その希望に沿って調剤するんです。そうすると、大きく分けて3パターンに分かれるんですね。
- 安い方で良い → 後発品に変更
- 安いのは嫌 → 先発品のまま
- 何のことか分からんし、面倒だから今までどおりで → 先発品のまま
患者層として最も多いのが高齢者世代ですが、すんなり説明を受け入れる人は少なく、忙しい中説明したのに、結局今まで通りでと言われることがありました。
そんな中、以前から細々と行なわれていた「一般名処方」というのに着目しました。
これは、処方箋に記入してもらうのに、薬品名ではなく成分名で記入してもらうという方法です。
具体的には・・・
商品名処方 : ムコスタ錠100mg
一般名処方 : 【般】レバミピド錠100mg
という違いですね。
お願いをして、病院の処方形式をすべてこの一般名処方に変更してもらいました。
みんなにとってWin-Winであることを強調したため実現した形式でして、
- 病院:すべて一般名で処方することで、処方箋1枚につき6点加算
- 患者:薬剤師からの、後発品へのうるさい勧誘がなくなる
- 国 :後発品に変更してもらいやすくなり、医療費の増大が抑えられる
- 薬局:後発品への変更が劇的に進む!
一般名処方は、後発品変更率80%を超えるには不可欠の方法だと思いますよ。
行動その3
次は、従業員教育です。
ここで、一般名処方だと後発変更率が劇的に上昇するカラクリをお伝えします。
(今までの処方せん形式)
ムコスタ錠の処方 → 患者に希望を聞きに行く → その結果、先発または後発を選択
(一般名処方せん形式)
【般】レバミピド錠の処方→ 後発で調剤
私は薬局長として、
「一般名処方ならば、患者希望に関わらず後発品でやるように」という薬局方針にしました。
これが、実際に従業員教育に用いた内容です。
組織を順調に運営していくのに、一定のルール作りは欠かせません。
今回のケースでは、「一般名処方=後発医薬品を選択する」というルールを決めたことで、【般】レバミピド錠100mgという処方の場合に、先発なのか後発なのか迷わなくても良いという結果になりました。
これら3つの行動の結果、後発医薬品使用体制加算3(26点)を算定することが可能になり、月2000回の受付回数だと月々52万の収入増になっています。
仕事上の結果としては充分かと思いますが、まだまだ他にもオーナーの信頼を得る方法はたくさんあります。
順次、記事で紹介していくつもりです。